君に落ちる7日間 4

                      

DAY4

 お天気って毎日ころころ変わる。そして、同じ日本でも、ほんの少し場所を移動しただけで、ころっと変わってしまう。1回、雨と晴れの境目に立ったことがあったけど、人生の天気……転機も、そういうものなのかもしれない。だって、男の人なんて、縁のなかった私が、今じゃ2人の人と、メールをするようにまでなった。もちろん、あたりさわりのないことだけど。会ってメールと同じくらい喋れるかって言われたら、絶対無理だけど。
 今日また、羽鳥さんの企画で4人で集まったんだけど、1ヶ月も経たないうちに、学校も違うのに、こんなに何回も同じ人と会うのっていうのも、なかなかないことだと思う。そういう場に、毎回私が呼ばれるっていうのも、滅多にないような気がして、これもやっぱり、さっきのお天気みたいなものかなって、考えた。
 今日は、もうすぐクリスマスだねって話が出て、そしたら渋谷さんが、クリスマスの時期にディズニーランドに行きたいって言って、想像したら、ちょっといいなって思った。羽鳥さんはもちろん、垂坂さんもいいねって言って、じゃあ計画しようってことになって、そのとき羽鳥さんが急に「そういえば荷央ちゃんのメアドと携番、2人は知らないですよね」って言ったから、ドキッとした。
 実はこれまで、垂坂さんと羽鳥さんが仲介役となって、連絡を取っている形になっていた。
 垂坂さんはちょっと視線を泳がせて、うん…なんて言ってたのが、全部意味がわかってしまって、私も、心臓が飛び出しそうなくらいドキドキして、たぶん顔は真っ赤だったと思う。
 いっぽう渋谷さんは平然として「俺は前聞いた」なんて言うものだから、私は別の意味で驚いてしまって、あたふたとしてしまった。垂坂さんはそれを知らなかったみたいで、びくっとして渋谷さんを見てたから、わけもなく悪いような気持ちになったし……。
 垂坂さんが、ちらっと私のことを見たのも、そういう気分に拍車をかけた。別に、意味があったわけじゃないんだろうけど。私が勝手に、そう感じただけで。
 それで、誤魔化すわけじゃないけど、私も慌てて「2回目のとき、渋谷さんに聞かれて…」なんて言っちゃって、それが逆に怪しい雰囲気みたいに聞こえたんじゃないかって、どぎまぎして、そんな姿を、羽鳥さんにじいっと見られてた気がする。
 すると、「とりあえずこことここ(渋谷さんと私)が知ってんなら、いいんじゃない」みたいなこと、渋谷さんが言い出して、渋谷さんと垂坂さんはもちろん知ってるわけだし、垂坂さんと羽鳥さんもたぶん、同じバイトだから知ってて、私と羽鳥さんが繋がってるわけだから、それで済むかもって羽鳥さんも同意しだして、私は何も言えなくなってしまった。
 否定する理由がない。私がちょっと、淋しいだけで。もう知ってるから意味はないのに、自分だけ繋がってないようなのが、気になって……黙って俯く。
 そしたらね。私の気持ち、わかってくれたのかな。垂坂さんが、4人で一度にメールした方が、効率的じゃないって提案してくれて、何事もなかったように、私に「アドレス教えて」って言ってくれたの。
 震えそうになりながら、携帯を出した。もう既に登録されているはずのアドレスを送って、垂坂さんが受け取って、私にその場でメール送ってくれるのが、思った以上に胸を打った。さらにそのメールに『内緒ね!』って書いてあるのを見た時、思わず本音を顔に出しそうになるのを必死でこらえるの、大変だった。
 私たちのやり取りを見てた羽鳥さんと目が合って、ちょっと気まずい気分になった。
 その横にいる渋谷さんも、疑るような、もう全部わかってるような感じで見てたから、ハラハラしてしまって。垂坂さんが話題を変えてくれなかったら、私、どうしてたかわかんない。

 そのときになんだけどね、ふっと、心の中に、もしかして渋谷さんは、羽鳥さんと垂坂さんをくっつけようとしているのかも、って考えが浮かんで……なぜだか胸が苦しくなった。
 もちろん、そもそもは私だって、その役目を仰せつかっているわけだし、協力しなくてはならないんだけど。渋谷さんもそういうつもりで、動いてるのだとしたら、それは自然なのかもしれないんだけど…。
 そうだ。私、羽鳥さんのために、こうして集まっているってこと、忘れてた。
 羽鳥さんに頼まれて、最初はいやいや参加したんだ。でもいつの間にか勝手に、垂坂さんとメールするようになってた。それって、すごい裏切りだよね。そうだよね……。
 家に帰ってから、ものすごく落ち込んだ。私、予感してたのかな。帰ってから、渋谷さんからメールが来て、そこには『羽鳥さんって垂坂のこと好きなんだよね?』って書いてあって、私、どうやって返事していいのかわからなくなった。
 すごく泣きたいような、逃げ出してしまいたいような気持ちで、自分のしてることを、神様が責めてるかもしれないって思った。
 なんでこんなに、苦しいのかな