君に落ちる7日間 2

                      

DAY2

 実は奇跡的に、2回目の約束につながってたみたいで、今日また、4人で会って来た。
 1回目と違って今日は、ちょっとだけ、落ち着いて受け答えできた気がする。
 すごいびっくりして、嬉しかったのが、今日は、垂坂さんだけシフトが午後の日だったんだけど、それを皆で待ってたら、お詫びといって、羽鳥さんと私に、お店のケーキをわざわざ買ってきてくれたこと。しかも、ショートケーキ! 私が1番大好きな、おっきなイチゴの乗った、ショートケーキ!!
 「待たせてごめんね」ってその箱をくれたの。大した時間でもなかったし、気にすることじゃないのに、わざわざ働いてきたお給料を使わせてしまって、すごく申し訳なくて、お礼を言った後、ちょっと考えてたら、垂坂さんが心配してくれて、「嫌いだった?」って聞いてくれた。
 私が慌てて、ショートケーキがすごく好きなことを伝えたら、「実は俺も1番好きなんだ」って、垂坂さんが笑って、その笑顔が、なんだかとろけるようなクリームみたいだなって思って、そんなこと考える自分がすごく恥ずかしかった。でも、この間もそう思ったんだっけ。きっと、垂坂さんの穏やかな話し方も、そう見えるんだよね。
 垂坂さんが、渋谷さんは甘いもの嫌いだからなしね、って言ったら、渋谷さんたら、

「おう。それよりもっといいもんゲットしたから」

なんて、にやにやしてたんだけど、何のことだろう?
 すぐに垂坂さんが「いいもんって?」って聞いたけど、渋谷さんは「ひみつ」と、謎めいて笑うだけだった。垂坂さんもちょっと変な顔をしてて、この間と同じものやわらかな様子なのに、どこか違って、男の人って、ああいう雰囲気も出せるんだなあって思った。
 その後も、すごく楽しかった。
 先輩たちがいろいろ喋ってくれて、私はにこにこ聞いてるだけでも充分楽しくて、羽鳥さんも楽しそうだったし、緊張はちょっとだけしたけど、居心地も悪くなかった。

 家に帰った後もまだ、楽しみは残ってて、もらった箱を大事に開けて、ツヤツヤとした赤いイチゴの光る、綺麗なショートケーキが出てきたのを、ずーっと見ているのは本当に幸せな気持ちだった。食べてしまうのがもったいなくて、でも美味しいうちに食べてしまいたい気もするし、葛藤に葛藤を続けたあげく、先ず何枚か写真を撮って、その晩はケーキと一緒の部屋で寝て、明日、朝ご飯のかわりに食べることにした。お楽しみが明日の朝まで続くって、すごくいい。今すぐ脇に、乾燥しないようにして、綺麗にお皿に乗っけてる。明日、食べる前にもう一回写真に撮っておこうかなってあれこれ考えて、頭の中はケーキでいっぱい。
 それにしても、1回目のとき、思った通り、いい雰囲気を作るどころか、話に聞き入るばかりしてしまったから、きっと羽鳥さんは怒っているんだろうなって考えていたのに、(少なくとも私の成果ではないにせよ)今日に繋がったのは、本当に奇跡的だと思う。
 それがどうやら、渋谷さんが今回は企画したみたい。後から、渋谷さん本人から聞いた。
 垂坂さんのバイトが終わるのを待っている間に、羽鳥さんが垂坂さんを迎えに行ってしまって、2人にさせられて、私がもじもじしてたら、渋谷さんがそんな話をして教えてくれた。
 それで、その時、渋谷さんになんとなく連絡先を聞かれて、断るのも辺だったから、渡したんだけど。大丈夫だよ…ね……?