Home Sweet Home 2


 波の初めての交際は中学時代、相手は同い年の男の子だった。学校は全く違ったが、近所の図書館で互いに良く見かけたことから始まった可愛いものだ。初交際というのもあったし図書館での縁だったので、一緒に勉強したり公園や図書館巡りなど真面目で謙虚なお付き合いが続いた。彼はなかなかに男前な顔立ちで、例え絵本を読んでても様になるようなオーラを持っていたので、波は図書館でのデートが特に大好きだった。彼は無口で2人はいつも本に目を向けていたけれど、その内では互いを盗み見、その面立ちにドキドキとする。周囲からわかるかわからないかくらいの距離感。それは幸せでもあり純粋に自慢でもあった。そんなある時、たまたま波がいつもと違う図書館に行くと、ところが彼が本棚の陰で知らない女の子にキスしてるところに出くわしてしまった。呆然とすること数秒。ショックで立ち尽くす波にようやく気がついた彼は平然と言ってのけた。波は堅すぎて雰囲気もへったくれもあったもんじゃない。自分は漫画コーナー専門だったのに専門書コーナー引っ張りまわされて、ちょっと優等生風な頭の良い女の子って、結局見たまんまでつまらないんだね、と。
 その次の相手は年下だ。突然告白されて、何度も断ったのだがひどく熱心で、ほだされた相手だった。これまた見とれるような顔立ちで、話上手でもある。ごり押しされるうちに波もその魅力に惹かれていった。今度は堅くなりすぎないよう、波も適度に雰囲気というものを重視するようにした。2人の滑り出しはまずまずだった。
 しかし、彼には1つ気になる点があった。友達付き合いが多いこと。それも女子の。波からすると、付き合っている彼女がいるのに、複数の女の子としょっちゅう出掛けるのは気分が悪い。けれども彼にとっては、友達は友達だし、友達付き合いは重要じゃないかという。きちんと線引きしてれば問題ないと説明されれば、まあそれも一理あるし、またお堅いなどと言われるのも癪で渋々引き下がっていたが、実のところ彼はモラルの低い人間だった。彼の魅力的で甘え上手な説得にほだされて我慢しているうち遊びはエスカレートし、ついに彼のモラルの底辺が露見した。女の子と遊びに行って酒を飲んだ挙句、酔ってご乱交に及んだのだ。それも複数と。
 2度の経験で、波の防御壁は随分と分厚くなった。いい加減うんざりしたばかりなので、今度は恋するのも慎重だった。学習能力の高さはかなりあると思ってる。高校生になったし、さすがにもう失敗しないぞと、一方的な告白をされても付き合わないし、もし相手を選ぶなら見極めてからにしようと決めた。
 しかる後、ついに波は本当の恋をした。それが最終的に最後のお付き合いとなった年上の先輩で、優等生の波がメロメロになるような優秀で落ち着いた雰囲気の人だった。良家の子女といった品格に、これまた偶然甘いマスクを持った男。生徒会会長などという立場でもある。波は惹かれ始めた時から着々と見極めに入った。そして先輩は、図書館で勉強会を開こうが、波がちょっとだけお色気作戦に出ようが、常に一定のモチベーションで波をあしらった。これこそ本物だ! こうして波は陥落した。初の告白に及んだら、あっけなくOKされた。波は嬉しかった。先輩は常に品行方正で、波は大いに満足だった。月日は過ぎ、初めて一緒にクリスマスを過ごすことになった。